Our Service About Us Recruit Contact Us
ブランド構築支援 IMC理論 主な受賞作品
トップ > 事業内容 > IMC理論 > ブランド・マーケティング戦略
6.ブランド・マーケティング戦略

マーケティング戦略は大きく分けて、コスト戦略と価値戦略に分かれます。

コスト戦略とは、一定以上の質を保った製品やサービスを低価格で提供することをビジネス・モデルの中心に据え、薄利多売型のビジネスを展開することです。これに対して価値戦略とは、高付加価値の商品やサービスをそれに見合った高価格で提供するビジネス・モデルのことです。消費者市場での競争が激化する中で、コスト戦略でもなく価値戦略でもない中途半端なビジネス・モデルは、その存在価値が薄れ淘汰されやすい傾向にあります。ブランド・マーケティング戦略とは、コスト戦略ビジネス・モデルであれ価値戦略ビジネス・モデルであれ、他社との差別化を鮮明にしてブランドを明確に浮かび上がらせ、市場での競争力を強固に確保することを狙いとした戦略と言えます。

ただし、コスト戦略のビジネス・モデルは低価格路線であるために、ブランド認知という面ではブランドであると認識できますが、そのブランド・ロイヤリティのほとんどが価格に対するロイヤリティであるために、ブランドそのものの価値としては相対的に低く留まる傾向にあります。これに対し、価値戦略ビジネス・モデルは、まさに高級ブランド品に代表されるように高付加価値・高価格戦略であり、そのブランド・ロイヤリティもその商品や会社に対する思いや憧れ、自尊心といった情緒的なロイヤリティで構成されるため、ブランド価値が高くその拡張機会が大きいブランドと言えます。

●ブランド上位形成の法則

私達はマーケティング・コミュニケーション戦略を考える上で、独自の概念として「ブランド上位形成の法則」ということを重視しています。これは、「ブランドは、そのブランドを良いと評価する人間のレベル以下の人達でしか機能しない」というものです。ルイ・ヴィトンやシャネルなど高級ブランドの多くは、貴族や王室など非常に高い社会的地位を持った人々のために作られ、愛されてきたことが伝説となって格の高いブランドとして長期にわたって存続しています。日本は世界でも有数のブランド品の消費国ですが、貴族ではなく一般大衆が行列を作って大量に購入しているという現象はご存知の通りです。これに対して、レベルの低い人達が好んで購入するものは、逆にそれ以外の人々から軽蔑されることになるために、そのブランドを良いと評価する人間のレベル以下の人達でしか機能しないものとなってしまう傾向があります。

ここで着目すべきは、ブランドに「格」が存在し、上位レベルの人向けに開発し、上位レベルの人向けにコミュニケーションした結果、想定したターゲットレベル以下の人達のブランド・ロイヤリティを強化し、ビジネスとして大きく発展させることができるという点です。マーケティング戦略を考える時、往々にして多くの人に売れるようにしたいと考え、広いターゲットの嗜好に合わせて商品を開発し、大衆向けの分かりやすいコミュニケーションを展開してしまいがちですが、結局コスト戦略でも価値戦略でもない中途半端なマーケティング戦略に終わることが多いということには、十分注意する必要があります。マーケット・イン思考でブランド・マーケティング戦略を考えるということは、このような顧客の心理的行動パターンにも十分配慮して行わなければなりません。

またこれと合わせて、ブランド戦略では、ブランドをいかにつくるかということを考えるのではなく、ブランドを鮮明にするために余計なものをいかに削るかということの方がはるかに重要になる場合が多いということにも着目すべきです。有名な話としては、SONYは白物家電をつくらないと宣言しています。SONYほどのブランドがあれば、当然多角化してマーケットを広げたいところですが、銀行や保険など金融業にはブランドを拡張しても、ブランドを破壊するおそれのある市場やターゲット層に向けての商品開発には、絶対に踏み込まないというブランド・マネージメントがしっかりと機能しています。

●CHART ブランド上位形成の法則